リアル熟議7.24@慶應義塾大学実施報告
開催概要
- 主催:リアル熟議を実施する会
- 共催:文部科学省、NPO法人カタリバ、慶應義塾大学金子郁容研究室
- テーマ・分科会
「大学は、もういらない?~私たちと大学はいかにあるべきか~」- 当日は、以下の3つの分科会に分かれて熟議を行いました(計9グループ)。
- A~C:大学入試
- D、E:大学内での学習・研究や活動
- F~I:就職と進学
- 当日は、以下の3つの分科会に分かれて熟議を行いました(計9グループ)。
- 日時:2010年7月24日(土)13:00~17:00
- 会場:慶應義塾大学 日吉キャンパス 来往舎シンポジウムスペース
- 参加者:約100名
- (高校生、大学生・大学院生・企業人(経営者、人事採用担当者)、研究者、大学職員、NPO関係者など)
当日の流れ
13:00 開会
13:10 全体の流れの説明・資料説明
13:30 グループ毎に分かれて熟議(前半)
14:30 休憩
14:45 グループ毎に分かれて熟議(後半)
16:00 グループ毎に発表
16:30 総括
17:00 閉会
当日の写真(準備中)
当日は、ファシリテーター1名と参加者約10名ずつを1グループとし、9グループに分かれて熟議を行いました。写真は、大学入試についてのグループでの熟議の様子です。
車座になって、熟議が白熱してきています。当日は、椅子を近づけてそれぞれの発言に聞き入る姿が見られました。
最終的に9グループそれぞれが大学に関係する問題について、熟議の結果を発表しました。写真のように、「新・大学職業体験プログラム」を熟議の結果、独自に提案してプレゼンテーションをしたグループもありました。
熟議の概要
A)大学入試(1)
- そもそもの高校を卒業したら、すぐに大学へ入学するというキャリアが一元的になってしまっていることが問題である。
- 大学の存在意義は、知的好奇心を満たす、モラトリアム、学生のキャリアアップという3つだと言える。
- 高校での学習成果を測るインフラとして、高校在学中に一律で共通統一試験を行う必要がある。また、大学は多様なニーズに応え、自分たちが欲しい人材を獲得できるように入試を作っていくべきだ。
- 高校から大学に入るまでの期間に、きちんと自分のやりたいことを考える、就職活動並の「大学活動」を行うようにするべきである。また、大学に入る前の仕込みとしてフィールドワークや研修を行う、国立モラトリアム大学を設立することも考えるべきである。
B)大学入試(2)
- 高校生が大学について、いろんな情報を手にできていない現状がある。
- (参加していた高校生が)大学に入ってから、転部転科ができるということを初めて知ったり、勉強できても必ずしもいい企業に就職できないということを知ったりした。
- 高校生に情報をもっと提供してほしい。大学や学部の情報だけじゃなくキャリアや企業に関する情報も必要としている。
- 小学生の夢が「公務員になりたい」という言うキャリア教育がうまく行っていない時代に、大学と企業からの情報発信によって高校生のモチベーションを上げなければ、キャリアについて考えが深められない現状は変わらない。
C)大学入試(3)
- 高校生は大学についての情報やその情報の集め方をそもそも知らない。大学入試についてもきちんと理解しているとは言えない。
- 情報を事前に得ていないので、入試で合格しても入学した大学にマッチングしない、合わないという問題が発生している。つまり、重要なのは、高校教育と大学教育をどう接続するかである。
- 入試制度については、センター試験が一律の基準で受験者を捉え、一度試験を受けたら合格になってしまう、という点が問題である。
- 高校教育と大学教育の接続は、社会全体の価値観や意識の問題と密接に関係しているので、様々な分野のアクター(学生、高校生、先生、役所、企業など)が話し合う必要性があり、熟議のような形で展開する必要があるのではないか。
D)大学内での学習・研究や活動(1)
- 大学入学者の層は幅広くなっており、大学が担うべき役割も巨大化・多様化している。最先端の研究をしているだけでは、学生のニーズにマッチしない。たとえば、社会人としての生き方を身につけさせることに専念する大学を作るなど、大学の機能分化を考えていく必要がある。
- 学部の壁を廃止し、カリキュラムを柔軟化して、社会人が大学に入って、学生のカリキュラムや履修のコンサルティングをすることができればよい。
- 授業では、グループワークをきちんと導入して、社会で生きていくスキルを身につけさせるべきである。
- 研究する教授だけでなく、教えることに特化して専門性を持った教授の存在も認めていくべきである。それと関連して、教員の位置づけを明確化していかねばならない。
- ITなどを活用して、学生からの声を届けられるシステムを作るべき。また、科目登録のときに学生の希望を教授に伝えるシステムがあってもいいのではないか。
E)大学内での学習・研究や活動(2)
- 一番大きな問題意識は、学生のモチベーション・意識がどうして低くなってしまっているかということ。
- 学生が教授に「こんな勉強をしたい」などと意見を言いにくい現状があるため、うまくコミュニケーションがとれていない。それを打破するには、大学運営に高校の生徒会のような形で大学生を関与させる必要がある。そこから教授と学生が仲良くなり、学生の意識は変わっていくのではないか。
- 大学の学習・研究については、国や企業、社会が大学に発揮してほしいバリューを明確に伝え、大学がそれをきちんと認知していくことが必要である。企業が学生に求めるものと大学が学生に求めるものが不一致を起こしているので、早急にそのようなバリューの見直しをする必要がある。
F)就職と進学(1)
- キャリアパスの多様性が小さく、終身雇用を背景として人材の流動性が低くなっていることもあり、学生はずっと新卒で入社した会社で働かなくてはいけないという意識を持ってしまい、就職活動へ過剰な意識を持ってしまっている。制度的に、キャリアパスの問題や人材の流動性の低さについて考えていく必要がある。
- 学生が全員一斉で就職活動をするのは、「周りがしているから自分もしなくては」という気持ちからであり、就職活動しない人は、外れた人・異端だと見てしまう印象がある。そういった回りの傾向に流されない主体性を持った学生の育成が必要になってくる。
G)就職と進学(2)
- 就職活動について、大卒での新卒一括採用のラインから外れてしまうと、その後のオプションが狭くなってしまい、不利である。
- 社会人も学生も主体性や積極性が足りず、問題意識に欠けている部分が多い。社会人は、仕事を楽しんでいない傾向もあるかもしれない。そのような状況で果たして明るいキャリアを学生に描けと言えるのだろうか。
- 主体性を育成するためには、人から承認されたり真剣に話したりして、学生の軸・価値観を見極めることが必要なのではないか。
- そのためには、熟議のように自分の経験を真剣に話し、交流する場が必要である。仕組みとしては、熟議のような場を大学に導入し、企業からも話し合いへ派遣してもらい、ボランティアの社会人にも入ってもらうといいのではないだろうか。また、学生、高校生、地域ボランティア、保護者も参加させるべきである。個人の行動としては、この場にいる人は主体性があるので、まずは同僚や同級生を巻き込んでいくところから始めよう。
H)就職と進学(3)
- サムスンなどでは、理系に絞って採用を行い、明日から使える人材を大学と連携して育てている。
- 学生は夢を持たなくなったと企業は嘆き、社会人一年目からICTスキルがあります、といったアピールをしている。就職後に、自分が本当に何をやりたいのかが分からなくなってしまっているのが就職における学生の問題である。
- 「新・職業体験プログラム」として大学1、2年生を対象に職業を実施に体験し、学ぶモチベーションや専門性を高めるプログラムを導入してはどうだろうか。そうすれば、将来本当にやりたいことは何かを分かる動機づけになると考えられる。経済産業省の成長戦略と連携すれば、可能性は大きい。特に、受け入れ先は医療や福祉など今後成長が見込まれるところにするべきであり、期間は4カ月くらいを想定している。学生は、やりたいことを見つけ、経済産業省は日本経済にいい人材を得、大学はまじめに勉強する学生を得、企業は学生の囲い込みができるという案を提案したい。
I )就職と進学(4)
- 就職活動の現状として、企業の求める人材と大学が供給する人材のミスマッチと企業の求める人材と大学生のビジョンとのミスマッチの2つのミスマッチが起きていると考えられる。
- 学生側は、主体的に各々のキャリアビジョンを考えない。また、新卒一括採用制度の影響もあり、多様なキャリアビジョンを追求しづらい状況にある。なので、学生は自身のアイデンティティ確立とポートフォリオを作っていく必要がある。また、リスクを取ることを恐れてはならない。しかし、失敗した人をきちんと支える社会の仕組みが必要である。
- 大学は、主体的に考えざるを得ない環境づくりを行うべきで、たとえば慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスのような、授業を取った後のことも考えるカリキュラムが有効ではないだろうか。そして、ビジョンに基づいて1セメスター留学やカリキュラムづくり、インターンシップの機会などを提供するように努力するべきである。
連絡先
リアル熟議を実施する学生の会 事務局
問い合わせフォーム:http://real-jukugi.org/info-inq/
メールアドレス: info [at] real-jukugi.org
※迷惑メール防止のため、「[at]」を英文字半角「@」に置き換えてご送信ください。
- 2010. 08. 08. 02:46